新幹線の通路を時々子供が駆け抜けていった。小さく笑う大人を見た。すばらしく明るい場所からじめじめした小さな場所に、急いでいないのに、すごくはやく私を運ぶんだね

明るい場所で明るい人と、光を放つような抱擁。鳥が鳴いて泣いて土が湿る。種が蒔かれて鮮やかでやわらかい芽がひらく。太陽が昇って沈んで、海は満ちて引いて、あなたは瞬きをする。

みんなやがて死ぬと言い、豚肉の脂身も海老フライの尻尾も食べた。数字は本当に増えたり減ったりしてるかな、この山、ううん、世界中に葉っぱは何枚あるの?すべて落ちてもまた生まれて私たちはなんでおちばまみれにならなかったの。赤ちゃんが隣の部屋にいたはずなのにいつのまにか知らない女の人になっていて、私っていま何歳だったかな。

ときにはもっと求めて、私はもっと知りたい、触ったところと浮かびあがるところがずれている。こんな傷、記憶にないよ、知らないことは恐ろしいの知らないからこわいの。

従兄弟はお家の中で、ビニールプールで生まれた。そういうことを突然思い出している午後、雨が窓を叩きつけてうるさいと思ったら静かになった。と思えば雷が耳を劈く。今日も優しい人も悪い人も死んで、私は傷跡が綺麗に治るという薬を、レトルトのリゾットの液がかかって火傷した左の太ももに擦り込んでる。なんてことないことに心が抉られて、これはどうしたらいいのかな。くすぐったい。うーうー唸っても、洗い物はピンクのスポンジだってことわすれない。

今日は19時くらい。昨日は11時くらい。一昨日は21時くらい。その日の中で一番幸せだった時間はばらばらで、逆に絶望する時間は大体いつも24時くらい。眠る前は昼間と全く別の人、一日のなかに私は何人も。早く眠ろう煙草吸ったら真っ暗にして窓あけて眠ろうおやすみ大好きだよ起きたらチョコレート食べよう。大人だから起き抜けにチョコレート食べれるんだよしあわせだよね?