2023-01-01から1年間の記事一覧

黄色い付箋 犬と女の子の絵 知らない言葉を教えてくれた人 ヘルメットの留め具をかちりと留めてくれて丘まで走ってくれる 丘の上で交わされる白い封筒の手紙の話 駅前で派手なミュージシャンが歌っていた 冷たい風が頬を切った 浅く小さな傷ができた できる…

エア

ここからはもうなにも見えなくなった。見えなくなる所まで来て、もう戻れなかった。先にも進めなくてすべてが遠く、気も遠くなって本当はここで自分のことも終わらそうと思った。服も着ていなかったし上も下も前も後ろも、水も、土も、なにも、なにもかもが…

毎日公園で子供を眺めている。子どもたちの、予測のつかない例えば蝶々に似ている、奇妙な動きかた。 ジャングルジムに絡まる子どもを解くのが私の仕事だったらいいのにな。その日は、ジャングルジムに何人も子どもが絡まっているように見えた。ジャングルジ…

🎀

どこまでも遠くまで続いてあるように見えた夕方の砂浜を果てに向かって歩いていくと、そのうちに段々と石が目立って、やがて岩がごろごろ転がるようになる。岩はどんどん大きくなっていって、自分よりも四倍あるような岩にぶつかった後のその先には進めなか…

9月

私が体を回転させてマンションの、9階から落ちている。8階分の窓の明かりが全てついていて視界がチカチカする。3回転半で地面が目の前に見えて、はっと目を覚ましたら眠くて眠くて、昨晩外せなかったコンタクトで目も開けられなかった。せーのと言って起き上…

新幹線の通路を時々子供が駆け抜けていった。小さく笑う大人を見た。すばらしく明るい場所からじめじめした小さな場所に、急いでいないのに、すごくはやく私を運ぶんだね明るい場所で明るい人と、光を放つような抱擁。鳥が鳴いて泣いて土が湿る。種が蒔かれ…

優しくて、独りよがりで、悲しくて、愛おしい ミルク舐めるこねこ、石鹸のにおい 白い花 天使? 砂糖水 やわらかい布 公園?地獄 僕より狂ってるあの子じゃないとダメなんだいろんな人が混じって混じって混じって間違えそう。目の前の、この人の名前はなんだ…

私は当分子猫の気持ちで他人に懐く物を落とすお前を引っ掻き回す。念入りに毛を繕う。すぐに熱中してすぐに飽きる。雷の隙間に僕たちはいた。廃墟みたいな赤茶のビルの屋上で、カラスがじっとこっちを見ていた。遠い国から来た人がにっこりと笑いかけたのが…

そこで、踏みとどまる君のつま先に血が集まるのを見ています。力を込めて 一緒に暮らせたら毎日とっても楽しいだろうね。そんなことあるの 君が君でありたいとき?僕は僕であるだけとか… 「彼女は寝てる 眺めてみても適正価格のゴミを捨てているだけ」 寝言…

メモ

散歩が好きなのは歩くと数分後にはそこにいないから。歩けば歩く分だけちゃんと進む、自分の体がそれをできることが、地面を踏みしめられることが素直にすごいと思えるから。そこにいないこと、私がそこにもういないことがとても大事だ。そして必ず帰ってく…

薄い約束をしまくるの やさしい時間とそうじゃない時間は交互にやってきて終わらない 君は未だ少年の光を携えた眼差し いつまで空を見つめたままなの まだ足りないのならそう言って私に視線をうつして ひとりでいたらいつも自分の匂いにつつまれていて、小さ…

お前が生涯かけても見ることのできない骨を持っている、足の先 余計な骨 お前が生涯かけても触れない光を触れるの 指の先 眩しくて目を細めて 太陽のお姫さま指を咥えてみてる 目の前にケーキ ロウでできたお家とお人形 私も並んで見てる 火事が起きるよ も…

あんまりにも消えてなくなりたい もうすぐあなたが起きてくる 太陽と月が愛し合ってたら二りはとってもかわいそう つつじの蜜 白詰草のかんむり ちりちりって音の鳴るぺんぺん草は本当はなずなって名前 おたまじゃくしがカエルになるなんて なめくじに塩かけ…

もともとはじめからなかったことにすれば なかった頃を思い出せば 僕はどんなことにも耐えられる だって僕は天性の嘘つきなんだ 嫌いな人が私に刃を向ければ向けるほど私はかわいくなって あなたが歌えば歌うほど私は遠くへ遠くへ 背伸びして手を伸ばしても…

消えてしまいたいということはつまり死んでしまいたいということではないんだけれど。 いなくなることに、何も伴わないということね。痛みや未練や名前や骨を。残さない。 そう、いまね 消えてしまいたいと思う 跡形もなく綺麗に ライトつけて、消すでしょう…

絶対言わない 本当に好きなこと好きな人好きなもの 可愛くてシャバいだけの脳足りんの薄っぺらくいきがっている奴らに取られちゃうから内緒 ずっと一人で続けてきた行為の方が、表立ったことよりもずっと魔法や熱を帯びることをみんな知らないの?ねちっこい…

浜辺にて

ねこのいのち…夕焼け この傷は明日には治るから…今は浜辺にて。痩身の女のかわいた髪の毛がなびく 僕はこの街に帰らない 彼女はこれをすっかり聞いてない。岩を飛びまわる。「猫みたいだねって何度も何度も言って。」 この岩、どうしてここにあるの?なにも…

リカ

三つ編みをほどくと波打つ栗いろのきれいな髪に風が吹きつけて 海 私が錆びていくところ見てて冷蔵庫に貼りつけられた小さな紙に青いペンで書かれてる 「大事なことを思い出すため」 これ書いたのだあれ 知らないけどママじゃない。ママのお気に入りのボール…

信じたくないかもしれないし、信じなくていいけれど 否定はしないでね わたしもしないよ 嘘なんてひとつもつかない切なくなる髪のやわらかさ 体温のひくさ いい匂いがするから切なくなるよ 優しいから ねむたいから お腹がすいたから カーテンがゆれたから …

seagull

撫でると形をかえる砂 潮の匂い 太陽に焼かれて そのすべらかな輪郭を泳ぎきりたい 白い肌に海水が張りついては離れてく カモメが泣く しずくがわたしのまぶたへおちる どこへも行かないで いつまでもそばにいて でも、どこへでも行っていいよ いつまでもそ…

1999年 だからわたしがこの世に生まれついたとき 世界は終わりかけていたという、その希望。でも、終わらなかったねって笑ってる人たちを再びおびやかすために生まれてきた、私は悪魔 笑ってるあなたは身軽 とても軽い足取り 空っぽね いい意味でね 馬鹿にし…

部屋を抜け出して あの赤い花の美しさよ少しだけ回復した魂を両手で大切に持ち歩く ひとり生きていくことがこんなにこわいなんて すぐに落としてしまいそうと思った瞬間落としてしまいそう もうなんだっていい なにがよくてなにが悪いのかわかんない 何のた…

見つめさせろよ もう見てるけど 私の瞳はすこし明るい茶色 馬の毛の色夕陽に当たった木の枝の色 知らないくせに だってすこしも私の目見なかったでしょう? 森の中に赤い星が光る日 世界中みんなが泣く 動物はみんな困り果てて助けて欲しくて泣くんだから う…

夢の中の荒れ狂った海とそのそばに建っていた学校のこと考えながら歩いてたら ころんでひざが割れちゃった 知らないもん 歩き方 さっきまで眠ってたんだもの 知らない知らない 眠る前のことなんにも思い出せない 君のこと何も知らない 何も知らない 考えたっ…

sol

世界を広げあうこと 恋人たち 私たちは手を振り続けてる 風が 風が吹いたらさようなら 泣いてるの? 泣いてるの 間違っているかな 間違っているかな… 手つないで 私の生命線とても薄いの 明日は来ない もう怖いことはない? 遠くで聞こえるよ ポップで透明な…

寂しくて寂しくて泣きながら帰ったら口の中で血の味がした いつもの道がなくなった 土の色は黒かった 夕陽が町を真っ赤にして 自分の身体の中を歩いてるようだった 思い出す 思い出せ 春は自殺がしたくなる 子どもたちの笑い声があまりに光るから 大好きだっ…

死んでみせることもできるよ 2年かけて伸ばした髪もベリーショートにできるよ いつも、その覚悟だよ どっか連れて行ってくれなきゃ困るよ泣いてしまうよ

電車が止まらなくて切り裂いた 寒天みたいに凝った空気 僕のこと知ってる風 いつからかいつも見えてる なんか光って 揺れたり固まったり 焦点が合うときと合わない時があって 水か部屋かもわからない 気になるの いつも見てる 言葉にも音にもならなかったし …