かわいいケーキまた食べたらもう一回クリスマスが来るかも。また写真を撮れば、同じ夕焼けみれるかも。またあの坂道を登ったら17歳に戻れるかな。またあの道を歩いたら、同じ音が聴けるかも。またライブハウスに行ったらまだ彼は生きているかもね。
音楽は素面で、一人で聴くもの、大きな椅子から眺めてたでしょ。街の様子、雪が好き、いい予感がするから口ずさんでみたい素敵なメロディ いろんなことに疲れていたっていつでも忘れない ちょうどラジオから流れてくるそんな感じの

忘れっぽいけど体だけは失くさないと気づいたら世界が見えきて、予感がした。ゆくゆくは春が来る。優しい人と仲良くなる予感がする。大事なことはどこに記したらいいかもうわかってる。

冬はたくさん眠る私に10分前は、もうすっかり関係のないことだった。朝と夜では違う人。生まれてからの全てを無理くりでもいいからつなぎたい、全てが一人の内から起きたことだと信じられない。でも、つながなければいけないのだった。そういうことばかりを考えてるんだから、
あなたは私を恨んでいるのかもしれないけど私はこの身に降りかかる災いもあなたのせいにしてしまう。それどころかあなたのことを忘れている。恨みなどないと思い、呪いのつゆも知らず生き抜くだろうね。

昨日見た夢はすべて今日に起こるはず、きっとかわいい幻の黄色いねこちゃんが私に懐いてくれる。君のことが大好きだから君に寿命をわけてあげて1秒だけ多く私に残して、ほとんど同じ瞬間に息途絶えたい。終わりがくるならそれしか嫌

黄色い付箋 犬と女の子の絵 知らない言葉を教えてくれた人
ヘルメットの留め具をかちりと留めてくれて丘まで走ってくれる 丘の上で交わされる白い封筒の手紙の話 駅前で派手なミュージシャンが歌っていた 冷たい風が頬を切った 浅く小さな傷ができた できるだけおかしいふりをして笑っているのがいい ピエロが3人くるくる回るオルゴールを持ってるの
冬の太陽 レモンのキャンディ スーパーで買ったリンスとサンドイッチ
おもちゃ箱の中の壊された宝物入れ お願い事が叶うならおねがいなおして 僕の世界をもとに戻して えんえん泣きじゃくってる 乾燥した男の子の唇

夢の境目 1番嫌いな場所で1番好きな音楽がきこえてわたしの首が骨の音を鳴らして固まった あれ…どんなふうに目を覚ませられるんだっけ 窓の外にカラスが飛ぶ気配 どうしてもわからないことがあればもう一回眠ってしまおう あたたかいこともっと知りたい 知りたい


このメロディ知ってるよ でもドレミで言えないの

エア

ここからはもうなにも見えなくなった。見えなくなる所まで来て、もう戻れなかった。先にも進めなくてすべてが遠く、気も遠くなって本当はここで自分のことも終わらそうと思った。服も着ていなかったし上も下も前も後ろも、水も、土も、なにも、なにもかもが見当たらなかったのでそれはできなかった。息を止めてもすぐにまた吸ってしまう。自分を迷子だと思って絶望して途方にくれた。でも、そういうときはいつもだれかが案外あっさりと自分を見つけてくれて、迎えに来てくれて、大丈夫だった。そういう星がついてくれているんだと思ったし、私を見つけることのできる人がいてしかも愛してくれていると信じた。

怖くなるのはいつも忘れたことに気がつくからだった。時計が回っているのを意識すれば足がすくむような感覚


夢の中ではあなたはいつも私の隣にいる。私のことを好きだと思っている。ときに燃えて消えてしまいたいと思ってる。

大きなけやきの木がその小学校の象徴だったけれど、校庭の端にもっと大きなメタセコイヤが生えていて、私はそっちのほうが好きだった。風に凪ぐ柔らかい葉を見上げた記憶はもう嘘まじりかもね。だんだん遠のく。そう、ここからはもうなにも見えなくなった。なくなったんじゃなくて、遠くはなれたから。戻れなくても、近づく手立てはあるかもね。


自分の左手で右手をつかんで。腕でできたいびつな円の中にあなたの体
そのまま聞いてほしいの
私って本当はあかるいよ ねえほんとうにたのしいことだけがずっとつづくといいのにね。

毎日公園で子供を眺めている。子どもたちの、予測のつかない例えば蝶々に似ている、奇妙な動きかた。
ジャングルジムに絡まる子どもを解くのが私の仕事だったらいいのにな。その日は、ジャングルジムに何人も子どもが絡まっているように見えた。ジャングルジムに絡まる子どもを1人ずつ抜き取って、抱き上げみたかった。子どもって柔らかくてしなやかで小さくてすぐにつぶれてしまいそう、でも、私はきっと解くの上手だと思うよ。
子どもたちは優しくなくてとても可愛い、尊いよ。無条件に恐ろしく光り輝く。速くなったり遅くなったり、集まっていたと思ったら散らばって、くるくる回ったり円になったり直線になったり…私をとても恐ろしくさせるけど、間違いなく希望に見える。太陽に似ていて、自分で自分の血潮を透かす。

祖父母が小さくて丸くて真っ赤でつやつやの紅玉をたくさん送ってくれた。朝も夜も切るのがめんどくさいから丸ごと食べる、甘ずっぱい。UAのLove sceneという曲に、「夜明け前は大きな木のはなれたふたつのリンゴだった」という歌詞があって、それは自分が考えたことにしたいくらい好きな歌詞のひとつ。そんな気持ちを言葉にできた上に曲にのせてしまうなんて。
私にはできない。音楽はできないけど、それでも数えきれないほど大事な歌を見つけられる人生でよかった。音楽はできないけど、絵が描ける。編み物もできるようになった。そうやって耐えていく。でも、あと何回眠ればぱっと光って、消えられるの。
消えないなら、いつか自分の股から生まれた子どもとジャングルジムに一緒に絡まって、途方に暮れたいと思う。りんご狩りにも行く。そんなことがあると約束されたら少しは不安もマシなのに。

夢で「世界平和って本当に叶わないの?」と言った。毎日目が覚めたらベッドを整えて、きちんと暮らす。それで世界平和になるかも。私の携帯のメモ帳に「白い方がいいよ」というメモが残されていて、それってなんのことだったかな。たしかに自分が書いたもので、記憶にないけど、次に何かを色で迷ったときには白い方にしてみようと思ってる。

私バックトゥザフューチャー見たことないの。見てみたい。E.T.はずいぶん昔にあるけど、また見たくなった。最近はそんな気分ね
いつも小さいころの自分が待ってる。ここで。
おやすみなさい、また明日。あと何回眠ったらいい?はやく帰っておいで

🎀

どこまでも遠くまで続いてあるように見えた夕方の砂浜を果てに向かって歩いていくと、そのうちに段々と石が目立って、やがて岩がごろごろ転がるようになる。岩はどんどん大きくなっていって、自分よりも四倍あるような岩にぶつかった後のその先には進めなかった。ただ海だけが続いている。そのとき私の心の中には、黄色い小さい子猫が眠っていた。お気に入り水色のブランケットを抱いて小さく丸まって眠っていた。子猫は昔は黒色だった。白色の時も水色の時もあった。砂浜へ着いたときには起きていて、伸びをしたり、犬に怯え毛を逆立てたりしていた。私の歩き方はとても退屈なもので、冬の海は寂しくて、あまりに静かだったから子猫も眠ったようだった。ここへは初めてやってきた。

さっきまで見ていた夢の中では競馬場にいた。海では誰も優しくなくて、道を尋ねても誰も彼も無視をした。だから帰り道がわからなくて、気がついたら競馬場だった。200円を払って。道を通るための料金だと思ったら、競馬場だったんだ。お金はもう券売機に吸い込まれて、仕方なく、入場しますと受付のおばさんに伝えるとぬいぐるみをくれた。それは茶色い馬のぬいぐるみでタスキには「ウサギノクツシタ」と書かれていた。競馬場とわかったものの、小さなグラウンドとラーメン屋くらいの大きさ建物があるだけで、馬は一頭もいないようだった。その建物に入るとカウンターがあって、知り合いが何人か座っていて、カレーライスやらカツ丼やらを食べていたので本当にほとんどラーメン屋だった。知り合いの隣に座ってみて、馬券の買い方を尋ねると、それまではなかった気がするもう一つの建物を指差してあそこで買えると教えてくれた。グラウンドを挟んで少し離れていたので目を凝らすと、そちらの建物には券売機のような機械が何台か並んでいて、何人かの人がいるようだった。それでも馬はいないので不思議に思っていたら、音声放送が流れる。1着、2着、と馬の名前が読み上げられ、知り合いたちが落胆したり、歓喜して盛り上がっている。別の競馬場で馬は走っていた。なるほど、と思った。どこかで走っているらしい馬の姿は見られないけれど、手に握っていたウサギノクツシタがきっと一番かわいいと思った。帰り道はわからないままで、なんとなく寂しいと思うと、目が覚めた。

目が覚めて、お化粧をして着替えて自転車に乗ったら、私の考え事は、お腹がいっぱいになることって、重さなのか体積なのか、カロリーなのかということだった。昔どこかで400gを胃にいれると、満腹に感じると聞いたことがあるような気がする。それからずっと満腹とは重さによってもたらされると思っていたけど、違う気がしたのだ。マシュマロとか400gも食べれないと思うから。じゃあ体積かと言われたらそれも違うと思うから、カロリーも考えてみたけれどケーキひとつじゃお腹いっぱいになれない。でもバターだったら一切れでいい。複数の要素があったとしても一番割合を占める要素はなんなのだろう?なんでも、どうでもいいことなのだけれど。今日のバイト先はとても暇で一日中考えてみたけど、日が沈んで、外国人のお客さんに「マイフットイズブロークン」と言われた頃には、どうでも良くなった。それよりも私のウサギノクツシタはどこへ行ったんだろう。とっても可愛かったから夢の外までも連れて帰りたかった。

黄色い子猫はどこかへ行った。私の好きな人のお家まで遊びに行ったと私は思う。水色のブランケットがぐちゃぐちゃだったので畳んだ。まだあったかい気がする。子猫と同じ大きさくらいであろうミルクガラスのカフェオレボウルに、たっぷりとミルクを注いでブランケットの横に置いた。お腹を空かせて帰ってきても子猫はこれでお腹いっぱいになるだろう。きっと眠ってる好きな人の横でまた眠っているんだろうから、まだしばらくは帰ってこないと思うけど、いつ帰ってきてもいいように。ミルクを飲むところをよく見て、何が空腹を満たすのか観察しよう。心の中ではウサギノクツシタも存在できるので、リボンを巻いて、子猫にあげようと思った。

9月

私が体を回転させてマンションの、9階から落ちている。8階分の窓の明かりが全てついていて視界がチカチカする。3回転半で地面が目の前に見えて、はっと目を覚ましたら眠くて眠くて、昨晩外せなかったコンタクトで目も開けられなかった。せーのと言って起き上がってシャワーを浴びて支度をしてバイトへ行った。

あたしの名前はひらがなで、同じ音でつけられていたかもしれない幾つかの漢字を思うと興奮する。小学生のころには、つけられたかも知れないほかの名前の候補もしつこく尋ねた。はるな、はるか、くれん、はな。どの名前でも想像すれば、私だけども違う女の子だ。くれんやはるかだった私をよく想像する。たまに名前にその為人がぴたりとあった人がいるなあと思うけど、私は他人から見ればどうなんだろうってこともよく考える。新しく出会った人にはよく名前の漢字とか由来を尋ねて。人の名前が昔から好き、昔からようこって名前が特に好き。陽子でも洋子でも葉子でも。まりちゃんも。きょうこも。

歩道橋の手すりに登って、目をつむった。あるいは堤防に、学校の塀に、屋上の淵に。目を瞑ったまま、渡りきってみせるわ。信じる?見てて

私の化粧はとても薄いしこだわりもないんだけど、リップの色だけは譲れない。好きな口紅持ち歩かなきゃ落ち着かなくて、散歩でさえも持ち歩く。忘れた日には塗り直せないことが許せなくてコンビニで買っちゃったりする。今は薄い薄いベージュとピンクを混ぜたような、桃の皮のクリーム色とピンクの境目のような色の口紅がお気に入り。ツヤツヤてかてかうるうるの唇も好きだけどマットでしっとりしてるのが私には似合うと思う。グロスより口紅の方がなんだかロマンチックに思うし、キャップをかぽちゃ、ってはめる音が好き。女の子にはわかると思うけど本当にこんな音なのよ。でも次に買う新しいのならグロスが欲しい、今度は熟した柿みたいなオレンジを水で薄めたような色がいい。下着にカーディガン、ボタン全部止めて、ジーンズ合わせてデートに行く。髪は巻かない。9月、というか今年の秋はそういう気分


「私がねなぜかね、5本、線を引くとね、全部𖤐になっちゃうのよ。いちにさんし、ご。𖤐いちにさんしーご。𖤐𖤐ほら。」
    
           𖤐
    𖤐 𖤐
        𖤐
「きらきら星が好きなせいよね。星が一番かわいいし。」

            𖤐
「「たくさん描いたらいいよ。好きなだけ。」と言ってくれる人ときっと一緒に暮らすんだ。私はきっと、そういうふうにできているの。」

𖤐
              𖤐
    𖤐

  𖤐
𖤐
         𖤐
 𖤐
               𖤐

新幹線の通路を時々子供が駆け抜けていった。小さく笑う大人を見た。すばらしく明るい場所からじめじめした小さな場所に、急いでいないのに、すごくはやく私を運ぶんだね

明るい場所で明るい人と、光を放つような抱擁。鳥が鳴いて泣いて土が湿る。種が蒔かれて鮮やかでやわらかい芽がひらく。太陽が昇って沈んで、海は満ちて引いて、あなたは瞬きをする。

みんなやがて死ぬと言い、豚肉の脂身も海老フライの尻尾も食べた。数字は本当に増えたり減ったりしてるかな、この山、ううん、世界中に葉っぱは何枚あるの?すべて落ちてもまた生まれて私たちはなんでおちばまみれにならなかったの。赤ちゃんが隣の部屋にいたはずなのにいつのまにか知らない女の人になっていて、私っていま何歳だったかな。

ときにはもっと求めて、私はもっと知りたい、触ったところと浮かびあがるところがずれている。こんな傷、記憶にないよ、知らないことは恐ろしいの知らないからこわいの。

従兄弟はお家の中で、ビニールプールで生まれた。そういうことを突然思い出している午後、雨が窓を叩きつけてうるさいと思ったら静かになった。と思えば雷が耳を劈く。今日も優しい人も悪い人も死んで、私は傷跡が綺麗に治るという薬を、レトルトのリゾットの液がかかって火傷した左の太ももに擦り込んでる。なんてことないことに心が抉られて、これはどうしたらいいのかな。くすぐったい。うーうー唸っても、洗い物はピンクのスポンジだってことわすれない。

今日は19時くらい。昨日は11時くらい。一昨日は21時くらい。その日の中で一番幸せだった時間はばらばらで、逆に絶望する時間は大体いつも24時くらい。眠る前は昼間と全く別の人、一日のなかに私は何人も。早く眠ろう煙草吸ったら真っ暗にして窓あけて眠ろうおやすみ大好きだよ起きたらチョコレート食べよう。大人だから起き抜けにチョコレート食べれるんだよしあわせだよね?